いじめられるのは「弱いから」じゃないよ

 初めは、聞き間違いかと思った。
 でも、彼女ははっきりと言った。

「いじめられるのは、弱いからじゃないよ」

 どういう意味なのか? と眉間に皺を寄せる。

「立場的にとか、肉体的にっていうのはあるけど、本当は強くて優しい人だからだよ」

 ますます言っている意味がわからなかった。

「だって、それに耐えられる人や許してくれる人にしかやらないもん。そんなこと」

 反撃されたら、元も子もないでしょ? と、続けて彼女は言う。

「僕は……許してるわけじゃない。反抗しても無駄だと思ったからだ」
「そうだとしてもだよ。結局、許してるのと同じだもん。痛いのわかってるから、仕返しだってしないでしょ?」

 今まで弱いからだと思ってきた僕にとって、彼女の言葉がうまく処理できずに単なる音として耳に入ってくるようだった。

「それに、その経験を乗り越えてきたからこそ、ひじりくんは誰よりも強くなれて、人に優しくできるよ」

 でも、心が熱くなったのはわかった。泣いているのか? この僕が?

「──君は、僕に期待しすぎだよ」
「そう、かな?」
「でも──その期待には応えたい」

 地につけた足に力を込めて僕は言う。彼女はにこりと笑ってお礼を口にした。

 しかしこの後、箍が外れた僕は中に潜む魔物を開放してしまうのであった。

──聖と有羽ゆば







Protect Characters―アザナカミ―|season1|目次

■第1話 謎の招待状
SCENE1:ざわつく心 / SCENE2:アクシデント / SCENE3:恐怖の始まり / SCENE4:出会い / SCENE5:飛行機ごっこ / SCENE6:記憶、力の暴発

■第2話 魄と朧と鬼と人形リーズ
SCENE7:意外な真実 / SCENE8:準備 / SCENE9:興味 / SCENE10:リーズという存在 / SCENE11:賭け / SCENE12:秘密

■第3話 鬼が消えた日
SCENE13:出発前 / SCENE14:出迎えた者は? / SCENE15:かわいい天使 / SCENE16:未知なる体験 / SCENE17:流天vs字守 / SCENE18:鬼の血

 

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